インタビュー

生前、「自分らしい生き方」を求めるのと同様、ここ数年、雑誌やテレビなどでも話題を集めているのが「自分らしい死に方=個性豊かな人生の最後のあり方」だ。それに伴い、さまざまな葬祭サービスも登場し、脚光を浴びている。

その究極ともいえるのが、故人の遺骨から抽出した炭素を使ってダイヤモンドを製作するという「メモリアル・ダイヤモンド」。メモリアル・ダイヤモンドが日本に紹介されて5年近くが過ぎようとしている今、スイスに本拠地を置く「アルゴダンザ」の日本支社、「アルゴダンザ・ジャパン」代表取締役の法月雅喜氏に改めて聞いた。

 

Q1.まず、最初に「メモリアル・ダイヤモンド」というサービスについてきかせてください。具体的には、どのようなサービスなのですか?

はい、亡くなった方の遺骨や遺灰からダイヤモンドを製作するのが私たちのサービスです。学校で習ったかもしれませんが、ダイヤモンドは炭素で出来ています。私たちはお客様からご遺骨やご遺灰をお預かりして、それをを浄化しながら炭素を取り出し、その炭素に高温高圧をかけることで合成ダイヤモンドを製作しています。
いきなり技術的な話になってしまいましたが、アルゴダンザが提案しているのはこうして出来たダイヤモンドを手元におくことで、亡くされた大切な方の思い出を甦らせることができ、更に心のよりどころとしてご遺族の精神的なケアに繋がるのではないかということです。

 

Q2.日本支社を設立しようと思ったきっかけは何ですか?
  私が最初に遺骨からダイヤモンドが出来ると知ったのは2004年の秋のことでしたか、インターネット上のニュースでこのサービスを知ったわけです。私の第一印象は“これはすばらしいサービスだ”ということで、自分にその時が来たら、ぜひ私の遺骨からダイヤモンドを作ってもらって、自分の大切な人に持っていて欲しいと思いました。
でも、気になるのが値段ですよね。そこですぐさま、アルゴダンザのホームページを探してみてみました。まあ、お値段的には“けっこうするな“というのが第一印象で…(笑)。ところが、そこに、”パートナー募集”と書いてあったのを見つけて、“これは!”とひらめいたわけです。それがきっかけで、何ヶ月かいろいろな交渉をしまして、2005年の5月にスイスのアルゴダンザ社の日本支社としてアルゴダンザ・ジャパンを立ち上げました。
余談になりますが、初めてアルゴダンザのサービスを知ったとき、私には婚約者(現在の妻)が出来たところでした。生まれて初めて一生一緒にすごしたい人、又、私が死んだときに私のダイヤモンドを託す人が現れた、というタイミングでこのダイヤモンドを知ったわけで、そういう人に出会っていなかったらこのサービスにもピンと来なかったかもしれません。ダイヤモンドになっても誰も大切にしてくれなければ意味がないですからね。

Q3.アルゴダンザ・ジャパンを設立してから丸4年を過ぎたわけですが、たくさんのご依頼がありますか?

アルゴダンザ本社自体も2004年の7月に誕生した若い会社ですが、創業以来すでに1500件以上のご家族にダイヤモンドをお届けしています。日本はその中でも非常にご依頼が多い国で、おかげさまで毎月たくさんのご依頼をいただいています。

 

Q4.どんな方からご依頼があるのですか?

そうですね。今までのご依頼を考えてみると、私どものご依頼者様にはかなりはっきりした傾向がある様に思えます。
それはご依頼者の方と故人に強い精神的な絆があり、ご家族の一員を亡くされた時の「離れがたい」想い、何とかして「あの人にもう一度逢いたい」という気持ちが非常に強い方がメモリアル・ダイヤモンドを必要とされているように感じます。
具体的には、ご主人を若くして亡くされた奥様、お子さんを亡くされたお母様、親御さんを若くしてなくされた娘さんからのご依頼が多いです。やはりこういった方々はその死が突然であったり、「まだその時が来ていない」といった、離れがたい気持ちがお強いのでは、と思います。

 

Q5.最近のお寺離れなどの傾向もご依頼と関係がありますか?
そうですね。多少は関係があると思います。お葬式やお墓に多額のお金を払うことに皆さん納得がいっていないのではないですか?少子化の影響もあり、これからのお墓の維持を考えるとなかなか今までのお墓のあり方を踏襲していくのは難しいかもしれませんね。
しかし、「ダイヤモンドがお墓の代わり」「お墓より安いから」という様な方は今のところまだあまりいらっしゃいません。お墓が「家」を中心にした葬送のシンボルとすれば、メモリアル・ダイヤモンドはもっと個人的な想い出の詰まったシンボルになるわけですから。ほとんどの方がお墓もあり、ダイヤモンドも、という選択をされています。もちろん中には散骨をされるので、という方もいらっしゃいますが。

 

Q6.「アルゴダンザ」ならではの製品的な特徴はありますか?

ええ、私たちはいくつかの点でアルゴダンザ・ダイヤモンドに自信を持っています。

まずひとつは非常に特殊な技術を使用することで、人工的に成分を添加することなく100パーセント故人の遺骨の抽出成分からダイヤモンドを製作できることです。当たり前といえば当たり前のことですが、遺骨のような不純物の多いものから高純度の炭素を抽出して、更にそれのみを使って宝石として通用するレベルの合成ダイヤモンドを作成するのは非常に困難なことなのです。

次は、アルゴダンザ・ダイヤモンドは非常に高いクラリティー、透明度ですね、を誇っていることです。天然のダイヤモンドでも、多くのダイヤには、多かれ少なかれ不純物が含まれていて、これをインクルージョンと呼んでいます。アルゴダンザでは、十分に宝飾用として認められる透明度の高いダイヤモンドをお届けしています。

そして3つ目が最後に美しい色合いがあげられます。これは主観的なものかと思いますが、私はアルゴダンザのブルーがかった色味がきれいだと思います。この色は意識的に着色したものでなく、ご遺骨中に含まれる成分によって色づくものなので、その方によってほとんど無色透明に近いものから、ブルーダイヤモンドと呼ばれるような色合いのものまで様々な形で現れます。その方なりの色味に完成するといってもよいと思います。

 

Q7.オーダーしてから納品まで、一般的な商品とは違い非常にデリケートな問題があると思いますが、特に気をつけている点は何ですか? また、預けた「遺骨」が、他の人と入れ替わるようなことはないのでしょうか。

そういったご心配は当然かと思います。大切な方の遺骨を私たちアルゴダンザに託してくださるのですから。
遺骨からダイヤモンドを製作するというのは単に技術的な問題だけでなくて、これを扱う者すべての道義性とか、倫理性というものを問うものです。大切な遺骨をお預かりするところから、ダイヤモンドをお届けするところまでのすべてのプロセスにおいて、故人と御家族に敬意を払った方法が取られるように心を砕いていますし、もちろん、御遺骨がすりかわってしまうという様な事が絶対無いように、御注文を受けましたときから管理番号を利用した管理をしています。

このサービスのお話をしますと、やはり聞かれますのは本当に100パーセント故人の遺骨からだけでダイヤモンドを製作しているのか、そしてこのダイヤモンドが本当に大切な故人のダイヤモンドなのかという事です。この2点については、ダイヤモンドをお届けするときにその旨を完全保証する保証書を同封し、また、世界で始めて製造環境を公開するなど、出来る限り多くの情報を開示してプロセスが透明であるように努力しております。

しかし、最終的には、私たちに対する信用がお客様の気持ちに沿うだけのものであるかということが何より大切になるでしょう。

 

Q8.将来的な展望を教えてください。
メモリアル・ダイヤモンドに関していえば、少しずつでよいので、このサービスの存在が知れ渡っていき、本当にこのサービスを必要とされている方にご利用いただければ、と思っています。
また、お客様にダイヤモンドをお届けする中で、私たちのメモリアル・ダイヤモンドは、愛する人を亡くした方の心のケアをする道具の一つである、という考え方に惹かれつつあります。ダイヤモンドをお届けする事以上のケアが何とかできないものかと考えています。

 

2009年9月

 


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